①エコー
大変有名な技法です。
内容自体は実に簡単。相手の言ったことをそのまま繰り返す、ただそれだけです。
しかし、これはこれでやはり中々に奥深いところがあります。
「ただ相手の言葉を繰り返すだけでそんなん何の意味があるっての?なんかバカみたいじゃん!」などと思われる方もいるかもしれません。
しかし、実際にやってみればわかると思いますが、効果はかなり大きいです。
場数を積むことでよりスムーズなエコーを身に着けることができます。
エコーの効果・目的
・相手は、自分の言葉を非難されたり裁かれたりされず、そのままに聞いてもらえたと感じ、そこに愛と満足感を感じます。
・自分の言葉を繰り返してもらったことにより、相手は自分を客観的にみることができます。そして、自己理解もすすみます。
・相手は同じことを何度も話さなくなります。
3つの種類のエコー
これらいずれのエコーにしても、相手の感情の調子に合わせてエコーすることが重要です。
1、フレーズ(一つの句)・エコー
いわゆる”オウム返し”です。一句・一句をほぼそのまんまエコーします。
子供・ご老人のお話を聞く時とか結構大切です。
(例)デイサービスのおばあちゃんとスタッフさんの帰り際の会話
「今日はうちの娘が」→「今日はおばあちゃんの娘さんが」
「迎えに来ることになってるの。」→「迎えに来ることになってる・・・」
「月・水・金は」→「月・水・金は」
「いつも娘が迎えにくるの。」→「いつも娘さんがお迎えにくる・・・」
2、センテンス(文章)・エコー
一つの文章の中から、ポイントとなる言葉(相手が一番伝えたいであろう言葉)をひろってエコーします。
(例)娘と母親の会話
娘「今日ね、学校帰ってすぐに、○○ちゃんのとこに遊びに行ったの~♪」
→母「○○ちゃんのとこに遊びに行ったんだ?」
娘「うん!そう!!それでね、○○ちゃんのお母さんがケーキを作ってくれて、それがもうすっごく美味しかったの!!!」
→母「すっごく美味しかったんだ?」
娘「そうなの!!なんかね、スポンジとかもすごいフワフワで、クリームもなんかちょっと他と違ってて~~♪」
→母「なんか他と違ってて~♪」
娘「うん、そうなの!なんか違うの!」
(エコーを使わない例)
娘「今日ね、学校帰ってすぐに、○○ちゃんのとこに遊びに行ったの!~」
→母「あんた。○○ちゃんのとこに迷惑かけてないでしょうね?」
娘「迷惑なんてかけてないよ!それよりね、お母さん、ちょっと話し聞いて?今日ね、○○ちゃんのお母さんがケーキ作ってくれたの。」
→母「ケーキ?あんたそんなの食べて、ちゃんと晩御飯食べれるんでしょうね?」
娘「食べれるよ!なんかいちいちうるさいなあ!!もういいよ!!」
→母「ちょっと待ちなさい!!・・・なんなの、あの口の聞き方は。
まったく・・・。これが反抗期ってやつなのかしらね。」
3、メッセージエコー
割と長めで入り組んだセリフに対して、枝葉は切り落として、要約して返すエコーです。
センテンスエコーと同様、相手が一番伝えたいであろう言葉をひろってエコーするのがポイントです。
(例)
「うちの母は最近重度認知症になってしまいまして。最近はどうも私のことを自分の娘だとわかっていないみたいなんです。
介護をしていても、時々私のことを赤の他人みたいに言うことがあるんです。それがなんかすごく悲しくて・・・。」
→「母に娘だとわかってもらえていないことがすごく悲しい・・・」
「はい、そうなんです・・・。」