I(私)メッセージとあなた(やっつけ)メッセージ
このI(私)メッセージ・あなたメッセージは割と有名なので、ご存知の方も多いかもしれません。
その内容は、非常にシンプル。
会話において、”I(私)”を主語にしてしゃべるように心がける、ただそれだけ。
場合によっては、ただそれだけで、ややこしくこじれていた話がすごく率直で、さわやかになることがあります。
しかし、そのシンプルさとは裏腹に、実際にはなかなか奥が深いというか、一筋縄ではいかないところがあります。
ではまず、私メッセージ、あなたメッセージとはどんなものなのか実例をあげて説明してみます。
(例1)お疲れの母親とドラ息子
A子さんは、共働きの主婦。昼間はスーパーのパートをし、家の家事も一手に担っています。
その日彼女は疲れていました。
夕方パートから帰り、朝干した洗濯物を急いで取り込んでいると、居間にはドラ息子がテレビを見てバカ笑いしている姿が。
カチンときた彼女。思わず怒鳴ってしまいます。
「いい年して!ちょっとくらい家の手伝いとかしたらどうなの!!」
そう言われて黙っているドラ息子ではありません。
「ハ?うるせーよ!ババア!!」
「あんた!親に向かってなんて口のききかたするの!!」
「だから、うるせーんだよ!ババア!!」
といった感じでいつもの喧嘩が始まってしまいました。
このやりとりは、まさにあなたメッセージ(相手をやっつけるメッセージ)の応酬です。
しかしもし、A子さんの一番最初の息子に対するセリフ「いい年して!ちょっとくらい家の手伝いとかしたらどうなの!!」をこんな感じに変えたらどうなるでしょう。
→「私、今日ちょっと疲れちゃってるの。悪いけど、ちょっと家事を手伝ってくれないかしら?」
主語を”私”に変えただけで、だいぶ印象が変わります。
こう言って、なおも「うっせーよ!ババア!!」と返す息子はそんなには多くないかと思います。(もっとも、相手が旦那の場合だと「家事はお前の仕事だろうが!甘ったれるんじゃない!」とか返してきそうですが・・・。)
(例2)デートの待ち合わせに遅れる彼氏・お怒りの彼女
彼らは付き合い出して数ヶ月。
今日はデート。しかし、待ち合わせ時間になっても彼はきません。
彼女の方はイライラカリカリ。
10分が過ぎてもまだこないので、彼女は彼の携帯に電話をかけます。
しかし、電源を切っているのかつながりません。
「何か事故にでもあったのかしら?」なんだか彼女は不安になってきます。
そんな感じで怒りと不安でじりじりしながら、20分後。
「いやあ、悪い、悪い。」とのんきな顔して彼氏が登場です。
来てくれたことにとりあえず安堵しながらも、彼女の方はストレスでいっぱい。怒りでいっぱい。
「遅れるなら遅れるで、ちゃんと連絡いれてよ!!」
「だいたいデートの約束に遅れるってどうなの?本当に私のこと好きなの?」
「それに今日だけじゃなく、いつも時間にルーズじゃない!だいたいなんで時間を守ることくらい出来ないの!!そんなの当たり前のことじゃない!!学校で10分前行動って習わなかったの!!!」
「あなた、そんな時間も守れないようでは社会人としてやっていけないわよ!」
彼女のお怒りはごもっともであります。
しかし、アメとムチ、北風と太陽の例えがありますが、彼氏に対してムチ一辺倒だと、逆に相手をかたくなにしてしまうかもしれません。
ですので、一通り言いたいことを言いあったら、最後はこんな感じのセリフで締めると、より効果的に彼氏の教育効果が狙えるかもしれません。
(少し上目づかいで)「私あなたを待っている間、何かあったんじゃないかってとても不安だったのよ・・・。だから、これからは遅れる時は連絡をいれて欲しいの。」
頭の中だけでも一度”私”を主語にして考えるだけでも意味があるかも。
とりあえず、2つほど例をあげてみました。
ただまあ、私メッセージというのは、実際に口に出すのが難しいです。
そんな素直に言えるなら最初から苦労なんてないというか、相手にナメられるのはまっぴらごめんというか・・・
しかし、頭の中だけでも私を主語にして考え、自分の気持ちを探ってみると場合によっては、それが助けになることがあります。
親子関係、夫婦関係、友達関係などにおいて、もしなんらかの行き詰まりというか、ループが続いているようなら、一度私メッセージで考えてみることで、よどんでいたその空気に、スッと新鮮な風が通せるかもしれません。